田上病院耳より情報バックナンバー

2008年01月28日風邪の話 〜内科より〜

 このところ急に寒くなってきました。今回は、「風邪」の話です。
かぜ症候群」とは、狭い意味では上気道(鼻から喉まで)の急性カタル性炎症です。広い意味では下気道(気管・気管支)を含むこともあります。

風邪の原因:病原体

 多くは、ウイルスや細菌による感染症です。

ウイルス ライノウイルス・コロナウイルス・RSウイルスなど多種
細菌 肺炎球菌・インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは別のもの)
モラキセラなどが多い

インフルエンザウイルスを除き、ウイルスの種類を調べることは外来では困難です。
細菌感染の場合、多くは風邪の初期にはウイルス感染だったものが、「こじらせて」細菌感染に悪化するという経過をとります。さらにこじらせると、肺炎に至ることもあります。
他に、マイコプラズマやクラミジアなどのこともあります。
また、長期間続く咳の場合は、風邪ではなく、喘息・結核・肺癌・間質性肺炎あるいは胃食道逆流症などが原因のこともあり、よく調べる必要があります。

風邪の症状

 悪寒・発熱(微熱から高熱まで)、倦怠感、咳、痰(白色・黄色など)、咽頭痛・喉頭痛、鼻汁・鼻閉、クシャミ、喘鳴、呼吸困難、関節痛・筋肉痛など、多様です。医師は、これらの症状を細かく聴取することで疾患の鑑別を行っています。ただし、インフルエンザでも微熱だったり、また高齢者の場合などは、肺炎などの重症でもあまり熱が上がらないなど、風邪かのように症状が軽くみえる場合もあるので、注意が必要です。

病院での診察・検査

 病院を受診すると、体温を測り、症状を聴取します。次に診察を行います。のどを観察し、発赤や扁桃の腫大などの有無を見ます。 また、胸部の聴診を行い、肺炎や喘息などがないか確認します。
必要に応じて検査を行います。肺炎の有無の確認には胸部レントゲン撮影、また血液検査を行う場合もあります。状況によって、胸部CT検査を行うこともあります。喀痰が多い場合には喀痰培養検査を、扁桃炎の場合は扁桃培養を行うこともあります。これらの培養検査は、病原菌を調べるためのものですが、培養結果がでるまでには数日かかります。高熱の場合やインフルエンザの流行時期は、インフルエンザ抗原検査を行います。
ただし、この検査は簡易検査であるため、10〜20分で結果が出る反面、発病からの時間によってはウイルス量が少ないことがあり、陰性でも「インフルエンザではない」とは確定できないため、症状やインフルエンザにかかった人(家族や知人など症状など)との接触の有無などを総合して判断することになります。
このほかにもいろいろな検査がありますが、症状や全身状態・呼吸状態・年齢・基礎疾患(肺や心臓の持病など)を総合して判断し、必要な検査を行っています。

治療法

 症状・診察所見・検査結果などを総合して、治療方針を決めます。肺炎であれば、多くの場合は入院となりますが、多くの気道感染症は、外来で内服薬などを処方します。その場合、症状などに応じた薬を処方しています。
風邪の多くを占めるウイルス感染の場合、ウイルスそのものを退治する特効薬はほとんどありません。多くは、症状をやわらげるための治療で、対症療法といわれます。高熱であれば解熱剤、痰が多いときは去痰剤、咳が強いときは鎮咳剤などがありますが、症状や基礎疾患などにより服用しないほうがよいこともあるため、注意が必要です。
また、うがい薬も治療・予防に有効です。抗生剤を処方することもありますが、抗生剤というものは主に細菌を消すための薬であり、風邪の多くを占めるウイルスには、あまり効果は期待できません。多量の膿性痰(黄色や緑色の痰)や高熱の場合などに処方することがあります。また、抗生剤にも多くの種類があり、適切な選択が必要です。
インフルエンザはウイルス感染なので、抗生剤の効果はありません。いわゆる特効薬としてタミフルがありますが、報道されているように、タミフル服用と異常行動との因果関係について結論が出ていない状況であり、どうしても必要な場合のみ処方されるようになってきています。他には、リレンザ・シンメトレルが有効な場合があります。なお、これらのインフルエンザの薬は、発症から早いほど効果があり、一方、発症から48時間以上たつと効果が期待できないので、早めの受診が勧められます。
これらの風邪について共通して重要なのは、休養です。安静・保温・栄養が最も有効な治療とも言えます。

 以上、風邪についての大まかな話ですが、年齢・基礎疾患の状態などによって、あてはまらない治療となることも多いので注意してください。またインフルエンザのときや喘息患者さんには解熱剤が使用しにくいなど、いろいろなことも考慮しなければなりません。
 風邪をひいてしまったときは、早めに受診してください。

風邪の予防

 風邪をひいてから、病院を受診するよりは、風邪をひかないようにしましょう。
よく知られているように、うがい・手洗い・マスク着用が有効です。病院で行う予防はインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンがありますが、接種した方がよいか否かについては、受診のうえ相談してください。

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