田上病院耳より情報

2014年12月01日飛びつく前に、よく考えよう 
健康食品きちんと理解して利用していますか?〜栄養課〜

最近、テレビ・新聞雑誌・インターネット等で、様々な健康食品を目にするようになりました。広告によっては、それを食べたり飲んだりするだけで身体が元気になり、色々な病気が治ると錯覚しそうになります。錠剤やカプセルになっていて、まるで薬に見えるものもあります。しかし、これらはすべて食品なのです。残念ながら食品は薬とは違い、基本的にそれ単体で病気を治す力はありません。全てではありませんが、科学的根拠が確立されていないのに健康食品として販売されているものや、あいまいな表現で消費者がつい誤解しそうなものが出回っている事があり、注意が必要です。

その健康食品は本当に信頼できるものですか?

専門家や偉い先生が薦めていた、有名人が愛用している、○○賞を受賞、特許取得、健康になったという個人の体験談や感想がたくさん・・・一見ものすごく効果があるように思ってしまいがちですが、これらは必ずしも有効性や安全性を証明するものではありません。信頼できる情報とは、1人ではなく多数の研究者が多方面から検証し、どのような条件の人が、何の成分を、どれくらいの量、どれくらいの期間食べて、何がどう変化したのかが、きちんと調べられているものです。健康食品にはこういった検証がなされていない物が多く、良くなったというのが健康食品の効果なのか、根拠があいまいなのです。
また、健康食品は同じ容器に入っているカプセルや錠剤が全て均一の濃度や成分でなければならないという明確な決まりがありません。過去には、商品ラベルに記されている成分を調べると、全く含まれていなかったという事例や、故意に薬の成分を無許可で加えたもの(無承認無許可医薬品)が流通し、それによる死亡事故の事例も報告されています。無承認無許可医薬品は薬事法に違反しており、もはや食品ではありませんが、見た目だけではそれが危険かどうか判断する事ができません。他にも、通常の健康食品による健康被害が報告されています。危険な健康食品から身を守るために以下の点に特に注意しましょう。

  • 海外からの輸入品やお土産品の健康食品
  • 病気が治った、ガンが消えた、飲むだけで痩せたなど根拠のない宣伝がされているもの(薬事法違反)
  • ○○病や□□症の人にもおすすめ!など病気の人を対象に販売しているもの
  • 何から抽出した成分で、どのくらい含有しているのかが不明なもの
  • 摂取による不都合に対しての問い合わせ先(製造者・販売者・輸入者)などが明記されていないもの(食品衛生法違反)

歳をとったら○○が減るので健康食品で補う必要がある?ちょっと待って

人間は加齢に伴う身体の変化があります。それは自然の摂理で、正常な変化と言えます。身体の変化によって減ったものを食品で補えばいいという考え方の根拠はあいまいで、『どれだけ減ったのか?』『どれだけ補うのが妥当なのか?』『補ってどうなるのか?』など不明なことがほとんどです。人間の身体は色々な変化に適応する能力があり、健康食品に頼らなくても十分な事もあります。また、特定成分を食品で摂取してもどうすることもできない身体の変化もあります。摂取すべき根拠があいまいな成分は無理に摂る必要はありません。

健康成分をたくさん摂ればよいというわけではありません

(過剰症にも注意が必要です)

通常の食事では、ある特定の成分を摂りすぎてしまうということはほとんどありません。しかし、健康食品は特定成分を濃縮しているものが多く、複数を継続的に摂取することで成分同士がどう作用しあうのか良くわかっていないものがほとんどです。健康食品の研究はまだ発展途上で、ほとんどがヒトの身体を使った試験を行わないまま販売されています。現在、健康成分とされているものも、今後の研究次第では摂りすぎると有害であるとわかる場合もあり得ます。あれも良い、これも良い、なんでも入っていてお得!と一度に多量摂取すると思わぬ過剰症や健康被害が出る可能性があります。

    ※現在報告されている過剰摂取によるリスクの一例
  • ビタミンE・・・過剰に摂取し続けると、出血性脳卒中の発症率が高くなる
  • β-カロテン・・・喫煙者の場合、過剰に摂取し続けると肺がんの発症率が高くなる
  • ビタミンA・・・妊娠初期に過剰に摂りすぎると胎児が奇形になるリスクが高くなる

薬との併用による相互作用やアレルギーにも注意が必要です

薬の場合、医師や薬剤師が過去のアレルギーや服薬状況などを考慮し、体質に見合ったものが処方されます。しかし、健康食品はあくまでも食品なので、今飲んでいる薬との相互作用やアレルギー反応について全て自己責任で摂取することになります。薬と健康食品を同時に摂ったら、もっと病気がよくなると思われている方を時々見ますが、慎重に考えましょう。健康食品の成分によっては、薬の効果が弱まったり、効きすぎて副作用が強まる場合があります。薬と健康食品を一緒に摂られている方は、かかりつけ病院の医師・薬剤師・管理栄養士などにどのような健康食品を摂っているのか申告する事をお勧めします。

トクホ(特定保健用食品)や栄養機能食品って何?

トクホ(特定保健用食品)や栄養機能食品って何?身体に脂肪が付きにくい、コレステロールを下げる、食後の血糖値が高めの方に・・・等、堂々と効果効能を宣伝している商品が出回っているよ?薬事法違反じゃないの?と思われている方がいるかと思います。これらは、特定保健用食品(以下、トクホ)といい、名前の通り特定の保健(血圧・血糖・体脂肪等)に用途がある食品ですよ・・・というもので、病気を治すための食品でありません。トクホは、ヒトの身体で試験が行われ、医学的・栄養学的に有効性と安全性が認められたものに限り、国が個別審査して消費者庁長官が許可を出した商品です。
栄養機能食品とは、ビタミン(12種)やミネラル(5種)を補給する目的の食品で、国が定めた規格基準を満たしていれば、その栄養機能について表示して販売する事ができるものです。
これらトクホや栄養機能食品も、すでにかかってしまった病気や、不健康な状態を治すのではなく、正しい食生活を基に、製品の用法用量を正しく守って適度にうまく利用する事で、まだ病気ではない健康な身体を将来にわたって維持する目的(予防)で販売されています。ここをしっかり理解していないと、過度な期待をしてしまい、乱れた生活スタイルを見直す機会を失いかねません。

健康食品を利用する前に普段の食生活を見直してみましょう

戦後直後の食糧難の時代には、脚気かっけ (ビタミンB1不足)鳥目とりめ(ビタミンA不足)といった栄養不足からくる病気がよく見られていました。しかし、現代社会では極端にバランスの悪い食事でない限り、通常の食生活を送っていれば栄養がそれほど不足することはありません。
健康食品を利用する前に普段の食生活を見直してみましょう1日に必要な栄養量は『日本人の食事摂取基準』で決められていますが、これは『1か月の平均値』を指しています。たまには多く摂りすぎる日や、足りない日があっても良いのです。ある1日だけを取り上げて摂取量を満たした、満たしていないというのは考えすぎです。 健康食品に手を出す前に、まずは主食(ごはんやパン等)、主菜(肉・魚・卵・大豆製品を使ったメインの料理)、副菜(野菜やきのこ・海藻・こんにゃく等の料理)のそろった、昔ながらのバランスのとれた日本人の食事を日頃から心掛けてみませんか?

新制度がはじまる予定です

新制度がはじまる予定です平成25年度の国会で、食品の効果・効能の機能性表示を、農林水産物やその加工品にも認めるという事が決定しました。早ければ平成27年度中にも解禁される予定です。今まではトクホ等にしか認められていませんでしたが、解禁後は、米やトマト、玉葱、などの一般の食品にもトクホのように効果効能が記された商品が出回る事になります。こういった健康食材がきっかけで、日頃の食事や健康について考える人が増える事が期待されます。その反面、あの食材が体に良いからと、何か一つに偏って食べる方が出てくる事も危惧されます。一つの食材に固執した食べ方は、食事全体のバランスを崩しかねません。せっかく身体によい食材を利用するのなら、その時々の旬の食材なども取り入れながら、食事全体のバランスを考えよう!と思われる方が増える事を願います。

基本的な食事や運動不足などの生活の乱れを無視して、トクホ・栄養機能食品・サプリメントなどの健康食品に頼るだけでは健康を維持することはできません。もし利用する場合は、飲む・食べるだけで健康になる!なんて魔法のような都合の良い事はないということを心に留めておいてください。

世の中には数多くの健康食品が流通しており、テレビやインターネットには正しい情報だけではなく、誤った情報もあふれています。健康食品を利用する前に、信頼できる公的機関の情報を一度確認することをお勧めします。健康食品についての正しい情報は以下にリンクしたホームページで得る事ができます。

消費者庁 http://www.caa.go.jp/
独立行政法人 国立健康・栄養研究所 http://www0.nih.go.jp/eiken/
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/
内閣府食品安全委員会 http://www.fsc.go.jp/
国立医薬品食品衛生研究所 http://www.nihs.go.jp/index-j.html

【参考・引用文献】
厚生労働省医薬食品局食品安全部、(独)国立健康・栄養研究所発行 健康食品の正しい利用法(2013年3月発行)

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