田上病院耳より情報

2011年06月01日慢性呼吸不全のかたの食事
食べ方の工夫について 〜栄養課〜

H23年1月の呼吸リハビリ教室におきまして、慢性呼吸不全のかたの食事についてお話をしました。
今回のお話の内容は、呼吸器の病気と体重減少についてと、日々の食事の食べ方の工夫などです。当日はたくさんの患者様が参加され、真剣にお話しを聞かれていました。
今回の耳より情報では、1月に行われた呼吸リハビリ教室の内容をご紹介したいと思います。

呼吸器の病気と食事の大切な関係

バランスを保つ

私たちは、空気を吸ったり吐いたりする(呼吸をする)時に、呼吸筋という筋肉を使っています。この筋肉を動かすために、食べ物を食べて得たエネルギーを使っています。食べ物を食べて得たエネルギーと、呼吸によって使うエネルギーが同じくらいの時に、ちょうど右のシーソーの絵のようにバランスを保つことができます。

ところが、呼吸器の病気にかかると呼吸がしにくくなるため、一生懸命に呼吸筋を動かして呼吸をする必要があります。すなわち、その分エネルギーもたくさん必要になるのです。呼吸に使うエネルギーが増えてしまうのに対して、食べて得るエネルギーは病気になる前と同じままだと、右の絵ようにシーソーはバランスをくずして傾いてしまいます。

悪いサイクル

このようにバランスをくずした状態が長く続くとどうなるのでしょう?まずは、知らず知らずのうちに体重が減っていきます。体重が減る時には、脂肪だけでなく呼吸に使う筋肉も減ります。そうなると、ますます呼吸がしづらくなります。食事の時間も呼吸が苦しいため、だんだん食事が苦痛になっていき、その結果、食べる量が減ってしまいます。食べる量が減ると、また体重が減り、筋肉が減り・・・と繰りかえしていく事になります。呼吸器の病気の怖いところは、この悪循環のサイクルに入り込んでしまい、ますます病気を悪化させてしまうところです。

呼吸器の病気は、健康な時と同じ呼吸器状態に戻すことが難しい病気です。しかし、病気にかかってしまっても、これ以上悪化させないことや、呼吸を少しでも楽にすることはできます。そのためには、呼吸に使う筋肉をこれ以上減らしてしまってはいけません。筋肉を減らさないためには、足りない分のエネルギーを食べておぎなう事が大切です。また、今すでにやせてしまっているかたは、呼吸に使う以上にエネルギーをたくさんとって筋肉を増やす必要があります。
エネルギーをたくさんとる近道は、やはりたくさん食べることです。ただ、食事中も呼吸が苦しく疲れやすいため、今以上に食べる量を増やすのは難しいというかたが多いと思います。そこで今回は、少しでも楽にエネルギーをとる食事の食べ方の工夫についてご紹介したいと思います。

悪いバランス バランスを保つために

エネルギーをしっかりとるための食事の工夫

  • 食事の前に休憩をとりましょう
    食べ物を噛んだり、飲み込んだりする事そのものが、呼吸を乱す動作です。呼吸が乱れた状態のまま食事を始めると、疲れが早くきてしまいます。食べる量が減ってしまう原因にもなりますので、食事の前には十分休憩を取って呼吸を整えておきましょう。
  • 3つのグループ
  • 野菜料理よりも、筋肉の元になる肉料理、魚料理、卵料理、豆腐料理などから食べ始めましょう。
    食べ物はそれぞれの働きに応じて、右図のように大きく3つのグループに分けることができます。どれも私たちの体にとって欠かせない大切なもので すが、呼吸が楽であるために特に重要なのが、@の血や筋肉の元になる赤のグループの食べ物になります。食事の時に、ハンバーグやオムレツとサラダ が一緒にあったら、サラダより先にハンバーグやオムレツを食べると良いです。野菜だけでお腹がいっぱいになる前に、赤のグループをしっかり食べる よう心がけましょう。
  • 油を使った料理を取り入れましょう。
    少量で高いエネルギーの油は、エネルギーをしっかり取りたいかたの強い味方になります。煮物や蒸し物よりも、揚げものや炒めものの方が、食事の量を増やさなくても簡単にエネルギーをアップさせることができます。また、マヨネーズも油の仲間です。サラダもマヨネーズをかけると簡単にエネルギーアップすることができます。
  • エネルギーの少ないお茶や汁物などは、食事より先に飲まないようにしましょう。
    食事の前に水分を飲んだり食べたりすると、おなかがいっぱいになってしまいます。そうすると、血や筋肉の元になる肉、魚、卵、大豆製品のおかずが入らなくなります。お茶やお水、具の入っていないすまし汁などはできるだけ後回しにして、先にメインのおかずを食べるようにしましょう。どうしても汁ものがないと食事が食べにくいという方は、汁の中に鶏肉や卵や豆腐などを入れて工夫すると良いでしょう。
  • 胃にガスがたまりやすい炭酸飲料やビールなどを食事と一緒に飲むことは避けましょう。
    ビールやサイダーなど炭酸を含む飲み物を飲むと、胃の中にガスがたまってしまいます。そうすると、胃が張って呼吸に使う筋肉の動きを邪魔し、呼吸が苦しくなってしまいます。また、胃が張ることで満腹になった気がして、食欲が低下してしまいます。エネルギーの高い炭酸飲料もありますが、いくらエネルギーが高くても、呼吸器の病気のかたは飲むことを避けた方がよいです。

〜どうしても食が進まない時は〜

  • 自分の好きな食べ物を、間食を含めて構いませんので、食事に取り入れてみましょう。
    食欲がない時、何も食べないというのが体にとって一番良くありません。どうしても食欲のない時は、市販品でも構いませんので、少しの量でもエネルギーがとりやすいおやつ等を上手に利用しましょう。(例えば、バター、卵、牛乳、生クリームなどを使ったエネルギーの高いもの・・・ケーキ、揚げドーナッツ、スナック菓子、ババロア、プリンなど)
  • 1回の食事量を減らして、間食を含めて4〜6回と増やすなどの工夫をしてみましょう。
    例えば、朝食が思うように食べられなかったという場合、朝食から昼食までの間の時間に、何か食べられそうなもの食べるなど工夫してみましょう。食事の回数を増やすといっても、朝・昼・夕食以外が、きちんとした食事の形でなくても構いません。例えば、おにぎりやバナナなどを10時頃に食べるという方法でも良いです。

呼吸リハビリテーションで体力をつけ、呼吸に使う筋肉を強くするためにも、食事はとても大切です。エネルギーをしっかりとることを心がけ、呼吸器の病気に負けない体づくりをしていきましょう。

注)この内容は、呼吸器疾患を持っている方を対象としていますが、他に生活習慣病などを合併しており、食事制限などのある方は、主治医に相談をしましょう。

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