田上病院耳より情報

2009年12月14日わたしとポチの1週間 〜2階病棟〜

とある市内の立体駐車場。
友達が華麗なテクニックで駐車しようと、窓から顔を覗かせた。

友達→『えっ!ねぇ、なんか居るばい!』

友達のハンドルが止まる。

私 →『はぁ?なんかってなん?』
友達→『え...なんやろ。ハト??』
私 →『ハトぉ!?なんで??』

思わず聞き返し、私も窓から身を乗り出す。
しかも友達を押しのけ運転席の方から。

友達→『痛かって!...ね?ハトやろ?』

縁石止めの前に黒い物体が...

友達→『クルックゥ♪』

友達は確信していたが、にわかにも信じがたい私。
私は車から飛び降り、黒い物体へ恐る恐る近寄る。

私 →『本当だぁ!ハトばい、ハト!!』

近くで見るハトに目がハートの私。
しかし、そんな私をよそに彼(ハト)は小さく震えている。

友達→『全然逃げようとせんね。』

友達も車から降り、近寄る。

友達→『どっか怪我しとるっちゃ?』
私 →『あんたがひいた!?』
友達→『いやいやいや、ひくわけないし!』

自信が無いのか必死に否定する友達。
彼(ハト)の震えは変わらない。

私 →『ちょっと診察してみてよ。』
友達→『え〜...』

と言いながら、彼(ハト)の体を持ち上げる勇敢な友達。

友達→『こいつ右足ば怪我しとるっちゃ?右足の伸びらんもん。』
私 →『うそ!?大丈夫かなぁ...』

確かに彼(ハト)の右足は伸びない。

話し合う事10分。
自分たちが怪我をさせたかもしれないという思いもあり、友達と共に、とりあえず警察署へ行くことにした。

おまわりさんへ事の成り行きを話し、
彼(ハト)の面倒を見て欲しいという私たちの願いに対し

おまわりさん→『うーん...保健所に連れて行くとが本当の所けど、連れた行ったらゆくゆくは処分されてしまうかもしれんもんなぁー。』

涙目になりながら顔を見合わせる私たち。

友達→『私たちで病院に連れて行こうか?』

私は大賛成!!

私 →『ポチ病院行こうか!』
友達→『ポチ!?それもしかしてハトの名前?』
私 →『うん!なんで??』
友達→『いや...なんもない。ポチ!病院行こう!』

私たちのやり取りに唖然としているおまわりさんに、動物病院を紹介して欲しいと詰め寄る。

おまわりさん→『あぁ、じゃあ飼われるということですね?』

おまわりさんは困惑した様子で、ひとつの動物病院を紹介してくれた。
私たちは、すぐに車に戻り動物病院へ向かった。

病院の扉を開けると、白衣を身に纏った一人の老人が座っていた。先生だ!!

先生→『電話もらっとるよ。』

先生はそう言いながら足早に診察室へ入っていく。

友達・私(この先生大丈夫かな...なんか怖いよ...。)

ポチを抱いた私は、先生のあとを追いかける。

先生→『ここにどうぞ。』

ポチをそっと診察台に置くと、先生は、どこで見つけたのか、どういう状況だったのか質問してきた。
説明する私たち。
その間にも先生はポチの診察をすすめている。
伸びなかった右足がグリグリ引っ張られ、今まで鳴く事が無かったポチが泣いている。

ポチ→『ピェェェェーッ!』

私たちが初めて聞くポチの声に驚いていると、

先生→『折れとるね。1週間の入院かなぁ〜。』

そして、出逢って間もないポチは私の家族として入院が決まった。
ポチを見つけた時は、こんなつもりじゃなかったのにと思いながらも、あの愛くるしいポチの顔を見に、毎日ポチの様子を伺いに病院に通った。

そして1週間が経ち、あの怖かった先生も優しく感じ始めた頃、先生の手から私の手にポチが渡される。

先生→『退院おめでとう。これからどうするとね?』
私 →『う〜ん...自然に帰します。ハトって平和の象徴やけん飼うことできないでしょ?』
先生→『そうやね。自然に帰してやるとが一番!』

そうして私とポチとあのときの友達は退院したその足で唐八景へと向かった。

私 →『ポチ〜...元気でね...』
友達→『ハトの恩返しってあるかなぁ?』
私 →『さぁ〜...』

友達の話しを軽く聞き流し、ポチを抱いていた腕を緩める。
ポチは...振り向きもせず、すごい勢いで大空へと飛んで行った。

私 →『恩返しなさそうやね。』
友達→『うん(笑)』

ポチと私の話はこれで終わりですが、ひとつ余談があります。
ポチは最後までメスかオスか分かりませんでした。
先生曰く、獣医師でも見分けるのは困難だそうです。

さて、ポチとこんな体験をした私ですが、実はこれでも看護師をやっています。
こんなふうに話すと語弊がありますが、私の願いは一人でも多くの患者さんがポチのよううに自分の過ごしてきた場所に帰れるようにということです。
ですから私は皆さんの生活が少しでもよりよいものになるようにお手伝いさせていただきます。

一看護師より
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