田上病院耳より情報バックナンバー

2008年08月26日熱中症の予防と対策 〜内科〜

1.熱中症とは何か?

「高温環境下で、体温の調節機能が破綻するなどして、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れ、発症する障害の総称です」

 私たちの体では運動や体の営みによって常に熱が産生されます。同時に、私たちの体には、異常な体温上昇を抑えるための、効率的な調節機構も備わっています。暑い時には、自律神経を介して末梢血管を拡張させ皮膚に多くの血液を分布させて、外気への「熱伝導」により体温を低下させます。また汗をたくさんかけば、「汗の蒸発」で熱が奪われ、体温の低下に役立ちます。これも自律神経の働きによります。

 からだから水分や塩分が失われるなどの状態に対して、私たちの体が適切に対処できなければ、筋肉のひきつけ症状や失神(いわゆる脳貧血:脳への血流が一時的に滞る現象)を起こします。そして、熱の産生と熱の放出とのバランスが崩れてしまうと、体温が著しく上昇します。このような状態が熱中症です。

2.熱中症の起こりやすい条件は?

 このような条件を満たす場所の例としては、工事現場、体育館、運動場、風呂場などがあります。さらに知っておきたいことは、心疾患、糖尿病、精神神経疾患、広範囲の皮膚疾患なども「体温調節が下手になっている」状態であるということです。心疾患や高血圧などで投与される薬剤や飲酒も自律神経に影響したり、脱水を招いたりしますから要注意です。

どのような人が熱中症になりやすいか?
  • 脱水症状のある人
  • 高齢者
  • 小児
  • 肥満の人
  • 厚着の人
  • 普段から運動していない人
  • 暑さに慣れていない人
  • 病気の人、体調の悪い人

 近年、高齢者の熱中症が増える傾向にあります。高齢者は発汗が少なく、暑さへの抵抗力が落ちているうえ、暑さや脱水症状に鈍感になりやすく、自宅の室内で熱中症になる例も少なくありません。周囲の方も注意してあげる必要があります。

3.熱中症の症状と対策

熱中症の症状と重症度分類
分類 症状 状態 重症度
I度 めまい、失神、筋肉の痛みや痙攣(こむら返り) 熱けいれん
大量発汗
軽度
II度 頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感 熱疲労 中等度
III度 意識障害、痙攣、手足の運動障害(真っすぐ歩けない、走れない)、高体温(体に触るととても熱い) 熱射病 重症

 I度の状態があればすぐに涼しい場所に移って体を冷やし、水分を十分与えて経過を見ます。体を冷やすには、衣服を脱がせる、水をかけて風をあてる、首やわきの下、足の付け根など太い血管のあるところを氷嚢で冷やす、などの方法があります。水分は冷水、スポーツドリンク、食塩水(500ccの水に0.5〜1gの食塩)がよいでしょう。II度以上の状態ならすぐに病院に搬送しましょう。搬送する間にも体を冷やすのを忘れずに。

4.熱中症を防ぐには?

日常生活でできること
  • 暑さを避けましょう(日陰を歩く、日傘、帽子の使用)
  • 服装にも工夫しましょう(吸水性に優れた素材、風通しの良いものを)
  • こまめに水分補給しましょう(外出時は水筒持参で!アルコールは×)
  • 急に暑くなる日に注意しましょう
  • 個人の条件を考慮しましょう(体調の悪い人、食事抜きや寝不足の日は要注意)
  • 集団活動の場ではお互いに配慮しましょう

 高齢者には手元にいつも水分をおいておき、入浴もぬるめで短時間にするようにしましょう。小児は周囲の大人が服装に配慮し、こまめに水分を与えること、屋外での活動時は特によく様子を観察することが大事です。

 熱中症はときに死に至ることもある病態ですが、予防することができ、応急処置を知っていれば救命もできます。まだまだ暑い日が続きます。正しい知識を持って、しっかり予防、対処しましょう!

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