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2007年05月25日田上病院での熱傷治療への取組み 〜 外科より 〜

29歳男性。作業中に有機溶剤に引火して衣服に燃え移り、右下腿と右手指に熱傷受傷。

田上病院での熱傷治療への取組み 受傷当日の状態

右膝から下腿にかけて広範囲に水疱形成あり。水疱は一部破れていて、膝裏と脛骨前面の皮膚は白っぽく変化していて部分的に3度熱傷の混在する2度熱傷と診断した。右手背部は拇指の一部、第2〜4指は全体的に浮腫状で数ヶ所小さな水疱形成が認められた。
治療は約30分冷水にて受傷部を冷却。破れた水疱被膜を可能な限り除去した(創感染の原因となるので)。
その後、白色ワセリンを塗布した食品包装ラップを直接創面にあて全て覆う。
この上をガーゼで覆い(浸出液を吸収してもらうのが目的)、さらに包帯を巻いた。

田上病院での熱傷治療への取組み 受傷3日目

創部を微温湯で洗浄する。創部痛はあるが飛び上がるほどのものではないとの事であった。
残っていた水疱被膜を可能な限り除去した。外観的に感染徴候なく発熱も認めなかった。
浸出液が多くラップ+ガーゼでは十分に吸収できないためラップ+紙オムツで創部を覆いその上から包帯を巻いた。

田上病院での熱傷治療への取組み 受傷5、7、13日目

毎日シャワー浴を行ってもらった後、創処置を施行した(前述の通り)。
創部の上皮化が順調に進み7日目頃より2〜3回/日の創処置が1回/日となる。
この間全身性の発熱や創局所の感染徴候なく抗生剤の投与を行うことは無かった。

田上病院での熱傷治療への取組み 受傷22日目

右下腿、右手指ともに熱傷部位は全て上皮化が完了している。手指の屈曲・伸展に障害なし。

今回の治療に際しては初診時より従来の熱傷治療の教科書にある治療とは異なる創処置を行ったためその旨を説明し、了承を得たうえでの治療となりました。治療期間のほとんどが入院となりましたが下腿、手指の運動は制限無く自由にしていただきました。
全ての熱傷が同様の処置で治癒するわけではないと思いますが、

  • 比較的短期間で
  • 痛みが少なく
  • きれいに治る(まったく元通りとはいきませんが)

治療法と考えています。
全国的にも同様の治療を行っている病院が増えてきているようです。熱傷治療専門医ではありませんが本症例以外にも何例か治療をしていますので、熱傷受傷の際はご相談下さい。

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